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レベニューシェアの契約締結で注意すべきポイント。契約書の雛形も公開。

「レベニューシェア」は、近ごろ注目を集めている契約形態です。耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。この記事ではレベニューシェアとは何かを解説しています。また、実際にレベニューシェアが用いられた実例や、契約締結の際に気をつけるポイントについても触れています。もし、レベニューシェアに興味があるなら、一度目を通してみてはいかがでしょうか。

レベニューシェアの契約とは?

業務委託契約を結ぶときに、あらかじめ固定された支払枠の委託契約ではなく、収益に応じて配分を求めたいと考えたことはないでしょうか。そんな場合に用いられることがある契約方法が「レベニューシェア」です。レベニューシェアとは、「収益(revenue)」を「分配(share)」するという意味の言葉です。レベニューシェアの契約では、決められた配分比率に応じて、契約当事者間の活動によって生まれた収益が分配されます。

「決められた配分比率の契約」とだけ聞くと、目新しい契約に感じないかもしれません。ですがレベニューシェアは、従来の契約とは異なる特徴から、システム開発やウェブサイト運営などを行うIT企業間でよく用いられています。レベニューシェアの特徴は、受託者が開発費用を負担して成果物を作成する点にあります。受託者は開発時に固定の業務委託料を受け取りません。代わりに、成果物が完成した後に、その運用によって発生した収益を、あらかじめ決めておいた配分比率に従って受け取ります。

レベニューシェア契約を使えば、発注者は低コストでシステム開発などが依頼できるようになります。対して受注者は、事業収益から長期的に利益を得られるだけでなく、システムなど成果物の保守点検によって収益を得ることが可能になります。そのためレベニューシェアは、成功報酬を前提にした委託契約であると同時に、利益とリスクの双方を契約当事者で担う契約だといえるでしょう。なお、収益から費用を差し引いた「利益」を分配する場合には「プロフィットシェア」と呼ばれます。「収益」を分配するレベニューシェアとは似ていて異なります。

レベニューシェアが用いられた事例

レベニューシェアはIT業界でよく使われる契約ですが、近ごろではさまざまなジャンルで用いられています。例えば不動産業界です。不動産オーナーと管理会社の間で、レベニューシェア型の契約が結ばれることは珍しくありません。この契約では、不動産オーナーは自費で不動産を用意し、管理会社は不動産運用のスキルを提供して、不動産を効率的に活用します。実際にどのようにレベニューシェアが用いられているか、以下で事例を紹介します。

あべのハルカス

近畿日本鉄道が運営する「あべのハルカス」は2014年に開業した超高層ビルです。展望フロア「ハルカス300」と、地上16階にある「あべのハルカス美術館」の運営において、「パナソニックIS」との間でレベニューシェア型の契約が結ばれました。この契約では、展望フロアと美術館の入場者管理や発券などのシステムをパナソニックISが担当し、設備開発と運営に当たっています。対価として、あべのハルカスの展望フロアと美術館の入場者数に応じて、パナソニックISに報酬が支払われます。

あべのハルカス側はこの契約によって、システム管理のイニシャルコストとランニングコストの低減が実現できました。なお、パナソニックISはクラウド型のサービスによって入場者管理などのシステム管理をしています。それによって直接あべのハルカスにシステムを構築する必要がなく、リスクと運営コストの低減を可能にしました。

日本ユニシス

日本ユニシスでは、ある企業のショッピングモールサイトの立ち上げの際に、レベニューシェアの契約を結びました。日本ユニシスは、自社のクラウドサービス「U-Cloud」を使うことで、短期間でシステムを構築をしました。日本ユニシスはこの契約によって、ショッピングモール運営の共同事業主となり、契約先企業のビジネスパートナーとして積極的に運営に参加しています。

わおん

わおんとはフランチャイズ型の「ペット共生型福祉施設」です。フランチャイズ経営をしたい者との間でレベニューシェア契約を結んでいることで知られています。経営に必要な土地建物などは、フランチャイズ契約者が提供し、対してわおん側は、経営のノウハウを提供します。事業の立ち上げから運営までフルサポートして、その対価にフランチャイズの収益から分配分を受け取る仕組みです。

レベニューシェアの契約締結で注意するポイント

レベニューシェアを成功させるには、契約の狙いやプロジェクトの目的を当事者双方が理解し、互いに協力できる関係になることが大切です。契約者双方にとってよい契約となるように、契約締結の際に注意しなければいけないポイントを解説します。

契約締結では信頼関係が大切

レベニューシェア型の契約では、確実に一方のみが利益を得られるということはありません。この契約では収益を分割するため、プロジェクトがうまく進行しなかった場合には、当事者双方が損益を受けるおそれがあります。プロジェクトを頓挫させないためにも、契約当事者の関係は友好的で、信頼できるものでなければなりません。では、どのように信頼関係を結べばよいのでしょうか。例えば、レベニューシェアの契約では、受注側はシステム開発費などを利益が発生する前に負担しなければなりません。確定的な利益が見えないうちに費用を負担するのは、企業にとって大きなストレスとなります。

このような問題の解決は、当事者間の信頼関係を結ぶ上でとても大切なことです。なるべく発注側が積極的に関与して解決するようにしましょう。場合によっては契約を改めて、費用の負担リスクを分配することも検討してみましょう。

役割りを明確に分ける

レベニューシェアにおける契約当事者は、収益獲得を目指して、互いをパートナーとして活動します。しかし、パートナーとはいえ、あくまで別企業です。そのため、どの業務をどの企業が担当するのかしっかりとすり合わせておかないと、仕事効率が下がるかもしれません。特に受注側は契約締結の段階ですでに業務負担が大きくなり過ぎていることがよくあります。バランスのよい業務量になるように注意しましょう。また、それぞれが受け持つ責任についても、明確にしておくとよいでしょう。

契約書に入れるべき項目に注意

契約後のトラブルを避けるには、契約書の内容について配慮が必要です。最低限書いておかなければならない項目は、まず「契約の目的」です。これによって契約当事者が互いに何を目指すのかが明らかになります。次に「業務分担の範囲」と「協力義務の内容」です。上述したようにレベニューシェアでは役割り分担を明確にすることが大切です。業務の範囲を明らかにしたうえで、協力すべき事柄の内容に触れておけば、不作為によるトラブルの可能性を減らせます。また「分配比率・分配方法」だけでなく「費用負担」にも触れておきましょう。収益を得るための活動には必ず費用が発生します。その負担先や担うべき額面を取り決めておけば、後々の金銭トラブルを回避できるからです。

契約書では「契約が終了した後の事」についても触れておく必要があります。契約では、終了時に多くの問題が起きるからです。特に「成果物の著作権や知的財産権の帰属」は契約後にトラブルになりやすいので、「契約期間」とともに必ず記載しておきましょう。以上の項目はあくまで契約書に最低限書き入れなくてはならない項目です。このほかにも重要な項目はたくさんあるので、契約に応じて取り入れるようにしましょう。

繰り返しになりますが、レベニューシェアは互いの信頼関係によって成り立つものです。あまり一方的な内容の契約書を作ったのでは、協力関係が成り立たなくなります。契約相手の立場を踏まえた配慮が必要です。そのため、状況に応じた契約変更ができるように、契約内容を見直す時期の取り決めを設定しておくのもよいでしょう。

レベニューシェアの契約書雛形が入手できるサイト

レベニューシェアの契約書を作るには、雛形を利用するのが便利です。雛形は弁護士事務所・司法書士事務所・行政書士事務所のホームページなどでダウンロード販売されていることが多いです。例えば、「M.B.A. 行政書士 岡田旭事務所(url:https://keiyaku.info/gouben04.html)」では契約形態に応じた契約書をダウンロード販売しています。また、「特定非営利法人映像産業振興機構(url:https://www.vipo.or.jp/u/contract-china-all.pdf)」では、映像産業におけるレベニューシェア契約の雛形を公開しています。

ただし、雛形をそのまま使ってしまうと、不具合のある契約になってしまう場合があるので注意してください。例えば、相手側だけでなく自社も到底守れない約束が契約書に組み込まれていて、契約が台無しになってしまうケースは珍しくありません。必ず雛形の内容を精査した上で利用するようにしましょう。なお、契約について不明な点がある場合には、法律の専門家に作成を依頼するか、もしくはチェックを受けることをおすすめします。

導入例